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【銀行交渉:追加担保の提供による融資条件の緩和とは?】 事業再生シリーズ:No.142

 追加担保の提供による融資条件の緩和とは、既存の融資に対して返済条件を緩和したり、さらなる融資を受けるために、企業が保有する資産を追加で担保として提供することです。銀行は、融資に対してリスクをできるだけ軽減したいと考えているため、企業が追加の担保を提供することで、返済条件の見直しや、より有利な金利での融資を引き出すことができる場合があります。

1. 追加担保の意義

銀行は融資を行う際、借り手が返済できないリスクを考慮します。特に資金繰りが厳しくなった場合、返済が滞る可能性が高まり、銀行はより慎重になります。しかし、追加の担保を提供することで、銀行側に「担保物件があるから最悪の場合でも返済に代わる資産がある」という安心感を与えられ、融資条件を緩和したり、新規の融資を受けやすくすることができます。

2. 追加担保として提供できるもの

追加担保として提供できる資産は、次のようなものがあります。

不動産: 企業が所有している土地や建物は、非常に価値のある担保となります。不動産の市場価値が安定しているため、銀行にとってもリスクが低い担保です。

有価証券: 株式や債券などの有価証券も、追加担保として利用できます。市場で取引されるため、価値が明確に評価されやすいのが特徴です。

設備や機械: 企業が使用している生産設備や機械も、担保として提供できる場合があります。特に高価な設備や特殊な機械は、銀行にとって価値があると判断されます。

売掛債権: 将来の売上が確定している売掛金も、担保として活用できます。これにより、現金がなくても銀行に対して担保を提供できる場合があります。

3. 追加担保による具体的な融資条件の緩和例

追加担保を提供することで、以下のような融資条件の緩和が期待できます。

(1) 金利の引き下げ

銀行が融資のリスクを低く見積もることができるため、金利を引き下げてもらえる可能性があります。これにより、利息負担が軽減され、毎月の支払いが楽になります。

(2) 返済期間の延長

追加担保を提供することで、返済期間を延長し、1回あたりの返済額を減らすことができる場合があります。これにより、資金繰りの改善が図れ、長期的な経営計画を立てやすくなります。

(3) 新規融資の承認

既存の融資条件の見直しに加えて、新たな資金調達が必要な場合、追加担保を提供することで銀行が新規融資に応じやすくなることがあります。たとえば、事業拡大や運転資金の確保のための資金が不足している際に、担保を提供することで追加融資を受けることができます。

(4) 保証金の免除や縮小

一部の融資では保証金が必要になる場合がありますが、追加担保を提供することで、その保証金が不要となったり、額が減少する場合があります。これにより、現金を確保しつつ融資を受けることが可能になります。

4. 銀行との交渉の進め方

追加担保を提供することで融資条件を緩和する交渉を行う際には、次のステップを踏むことが効果的です。

(1) 自社の資産の評価

まず、どの資産を担保として提供できるかを社内で検討し、その資産の市場価値を把握します。不動産であれば査定を依頼し、売掛債権や設備の場合も、それらの価値がどの程度銀行に評価されるかを確認します。

(2) 銀行に対する透明性の確保

追加担保の提供とともに、現在の財務状況や将来のキャッシュフロー計画も正確に説明することが重要です。銀行が納得できる計画を提示することで、より有利な条件を引き出せます。

(3) 再建計画の提示

銀行に対して、資金繰りを改善し、事業を立て直すための具体的な再建計画を示すことが必要です。これにより、銀行は将来的に返済が可能であることを理解し、条件緩和に応じやすくなります。

5. 成功事例:製造業のD社のケース

背景

D社は地方の中小製造業者で、複数の大手企業に部品を供給していました。しかし、景気の悪化により受注が減少し、売上が大幅に落ち込みました。その結果、毎月の返済が重くなり、資金繰りに苦しむ状況に陥っていました。

問題

D社は銀行からの融資を受けていましたが、現行の返済スケジュールでは事業運営に必要な資金を確保することができず、資金不足に直面しました。追加融資を受けたいと考えたものの、すでに借入額が多いため、無担保では新たな融資を受けることが難しい状況でした。

解決策:追加担保の提供

D社は、所有していた工場の土地と建物を追加担保として提供し、銀行と返済条件の緩和交渉を行いました。

具体的な担保の提供: D社は、工場の土地・建物の価値を評価し、銀行に担保として差し出しました。この資産は銀行にとって安定した価値を持つため、銀行はD社のリスクを低く見積もりました。

条件緩和の実現: その結果、銀行はD社の返済期間を延長し、金利を引き下げることに同意しました。また、D社は追加の運転資金を新規融資として確保することができました。

結果

D社は、追加担保の提供により毎月の返済負担を軽減し、短期的なキャッシュフローを改善しました。その後、事業は徐々に回復し、銀行との信頼関係を強化しながら、融資の返済を続けることができました。

6. メリットと注意点

メリット:

条件緩和が可能: 返済スケジュールの延長や金利の引き下げが期待でき、資金繰りの負担を軽減できる。

追加融資が受けやすい: 担保の提供により、新規融資の可能性が高まる。

リスク分散: 複数の担保を提供することで、銀行に対して返済リスクを低減できる。

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