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【銀行交渉:追加担保の提供による融資条件の緩和とは?】 事業再生シリーズ:No.143

 売掛債権のファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(取引先からの未払い請求書)を第三者のファクタリング会社に売却し、早期に現金化する資金調達方法です。取引先からの支払いを待つことなく、すぐに資金を確保できるため、資金繰りが厳しい企業にとって非常に有効な手段となります。

1. ファクタリングの仕組み

ファクタリングは、以下のプロセスで行われます。

売掛金の発生: 企業が取引先に対して商品やサービスを提供し、その対価として売掛金が発生します。この売掛金は、通常30日から90日程度後に支払われます。

ファクタリング会社に売却: 企業はこの売掛金をファクタリング会社に売却します。ファクタリング会社は、売掛金の80~90%程度を現金で企業に支払い、手数料を差し引いた残りを、取引先が売掛金を支払った後に企業に渡します。

取引先からの支払い: 売掛金の支払期日になると、取引先はファクタリング会社に直接支払いを行います。

2. ファクタリングの種類

ファクタリングには主に2つのタイプがあります。

(1) 償還型ファクタリング(リコース型)

企業が売却した売掛債権に対して、取引先が支払いを行わないリスクがある場合、最終的なリスクは企業が負います。つまり、取引先が売掛金を支払わなかった場合、企業がその分の責任を負う形です。

(2) 非償還型ファクタリング(ノンリコース型)

取引先が支払いをしなかった場合でも、そのリスクをファクタリング会社が負うタイプです。企業は売掛債権を売却した時点でリスクがなくなり、取引先が支払いを行わなくても、その負担を負う必要はありません。ただし、ノンリコース型のファクタリングはリスクがファクタリング会社側にあるため、手数料が高めに設定されることが多いです。

3. ファクタリングを利用するメリット

(1) 早期の現金化

通常、売掛金は支払いまでに一定の期間がありますが、ファクタリングを利用することで、その待機期間を大幅に短縮できます。これにより、運転資金が不足している企業でもすぐに現金を確保でき、資金繰りが改善します。

(2) 担保や保証が不要

ファクタリングは売掛債権をもとにした資金調達方法であるため、企業の財務状況や信用力に依存せず、担保や保証が不要です。これにより、既存の借入枠を圧迫することなく、追加の資金を調達することが可能です。

(3) 取引先の信用力に依存

ファクタリング会社は、売掛金の支払いを行う取引先の信用力を重視します。そのため、企業自身の信用が低くても、取引先の信用力が高ければ、ファクタリングを利用できる可能性が高まります。

4. ファクタリングを利用する際の注意点

(1) 手数料の発生

ファクタリングは手数料がかかるため、売掛金全額を受け取ることはできません。一般的には5%から20%程度の手数料が差し引かれるため、あくまで「早期の現金化を優先する」場合に有効な手段です。

(2) 取引先の同意が必要な場合がある

一部のファクタリングでは、取引先に売掛金がファクタリング会社に売却されたことを通知し、同意を得る必要がある場合があります。これにより、取引先との関係に影響が出る可能性があるため、事前に取引先とのコミュニケーションが重要です。

(3) 継続的な利用は避けるべき場合がある

ファクタリングは短期的な資金調達には有効ですが、手数料が発生するため、長期的な資金調達手段としては負担が大きくなる可能性があります。したがって、ファクタリングはあくまで一時的な資金繰り改善の手段として活用することが望ましいです。

5. 成功事例:製造業F社のファクタリング活用

背景

F社は中小の製造業者で、複数の大手企業に部品を供給していました。製造プロセスが受注生産型であるため、売上が入金されるまでに3ヶ月程度の期間がかかっており、キャッシュフローが圧迫されていました。特に、繁忙期には追加の材料費や人件費が発生するため、資金繰りが非常に厳しい状態でした。

問題

F社は銀行融資を受けるにも、すでに借入枠が限界に達していたため、新たな融資が難しい状況でした。そのため、売掛金の支払いを待たずに早急に現金を確保する手段が必要でした。

解決策:ファクタリングの活用

F社は、売掛債権をファクタリング会社に売却することで、取引先からの支払いを待たずに現金を手に入れることができました。

ファクタリングの利用方法: 取引先A社に対する1,000万円の売掛金を、ファクタリング会社に売却。売却額の80%にあたる800万円をすぐに受け取り、残りの200万円はファクタリング手数料を差し引いた額が取引先A社からの支払い後に支払われました。

結果: F社は繁忙期に必要な運転資金を確保することができ、資材調達や生産スケジュールの遅延を避けることができました。ファクタリングの利用により、キャッシュフローの改善が図られ、事業を安定的に継続することが可能となりました。

6. ファクタリングのメリットとリスク

メリット:

早期の現金化: 売掛金を待たずに現金を確保できるため、資金繰りが改善。

担保不要: 担保や保証が不要なため、企業の財務負担が軽減される。

企業の信用力に依存しない: 取引先の信用力をもとに資金調達できる。

リスク:

手数料の発生: 手数料が高いため、売掛金の全額を受け取れない。

取引先への影響: ファクタリングの利用が取引先に知られる場合、関係性に影響を与える可能性がある。

 まとめ

売掛債権のファクタリングは、資金繰りが厳しい中小企業にとって有効な資金調達手段です。ファクタリングを活用することで、売掛金の支払いを待たずに運転資金を確保し、キャッシュフローの改善が図れます。ただし、手数料や取引先との関係に注意を払うことが必要です。ファクタリングは、短期的な資金調達を迅速に行いたいときに非常に有効な手段ですが、長期的な解決策としては慎重な計画が求められます。

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