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【銀行交渉:新たな資金調達方法の提案(政府系融資や保証協会の活用)】 事業再生シリーズ:No.144

 政府系融資や信用保証協会の保証制度を活用することは、返済に苦しむ中小企業にとって効果的な資金調達方法の一つです。これらの制度は、中小企業の経営を支援するために設けられたもので、通常の銀行融資よりも有利な条件で資金調達ができる場合があります。以下に、これらの制度を具体的に説明します。

1. 政府系融資とは?

政府系融資は、国や地方自治体が提供する融資制度で、中小企業が低金利で資金を調達できることが特徴です。主に**日本政策金融公庫(日本公庫)**や、地方自治体の制度融資が代表的な例です。これらの融資は、通常の銀行融資よりも借りやすく、長期的な返済計画が立てやすい特徴があります。

日本政策金融公庫(日本公庫)の融資

日本公庫は、国が直接運営する金融機関で、特に中小企業やベンチャー企業を対象にしたさまざまな融資制度を提供しています。返済期間が長く、低金利で借り入れできるため、資金繰りに苦しんでいる企業でも利用しやすいです。

 新創業融資制度: 創業間もない企業や、新たな事業を始めようとしている企業に向けた無担保・無保証人で利用できる融資制度。

中小企業経営強化資金: 経営が厳しい中小企業に向けて、経営改善や事業再建に取り組む際の資金調達が可能。

地方自治体の制度融資

地方自治体が運営する制度融資も重要な選択肢です。地域の中小企業に対して低金利や無利子で資金を提供する制度があり、特定の地域や業種に特化した支援が受けられます。自治体ごとに条件や内容が異なるため、企業の所在地に応じた制度を活用できます。

2. 信用保証協会の保証制度

信用保証協会は、企業が銀行などの金融機関から融資を受ける際に、保証人としての役割を果たしてくれる公的機関です。中小企業が融資を受けやすくするために、金融機関に対して保証を提供し、万が一企業が返済できない場合には、保証協会が代わりに金融機関に返済を行います。この保証があることで、銀行はリスクを減らし、融資を実行しやすくなります。

信用保証制度の特徴

無担保での融資が可能: 通常、担保を必要とする融資でも、信用保証協会の保証を利用すれば無担保で融資を受けることが可能です。

保証料の発生: 信用保証協会を利用する場合、保証料が発生しますが、それでも金利が低めに設定されることが多いため、トータルで見ると融資コストは低く抑えられる場合があります。

保証限度額: 一般的に、保証限度額は2,000万円から1億円までの範囲で設定されており、企業の状況に応じて保証が受けられます。

3. 具体的な活用方法

(1) 政府系融資の活用方法

経営改善資金の調達: 経営が悪化している中小企業は、日本政策金融公庫の「中小企業経営強化資金」や「危機対応融資」などを活用し、資金繰りを改善することができます。これにより、返済の負担が軽減され、事業再建に集中できます。

創業資金の調達: 新しい事業を始めたい、または新たな収益源を確保するために投資を行いたい場合は、日本公庫の「新創業融資制度」を利用することで、無担保・無保証人で資金を調達できます。

(2) 信用保証協会の活用方法

銀行との融資交渉時の交渉力強化: 信用保証協会を利用すれば、銀行との融資交渉がスムーズに進みます。保証を受けることで銀行のリスクが軽減され、融資が通りやすくなります。保証協会を活用した融資であれば、通常の融資よりも低金利で資金調達が可能です。

融資の返済期間延長の交渉: 信用保証協会の保証付きであれば、返済期間を長期化することが可能です。これにより、月々の返済額が減少し、キャッシュフローの改善が期待できます。

4. 成功事例:製造業H社の資金調達

背景

H社は地方で部品を製造している中小企業で、大手企業への供給がメインでした。しかし、需要の低迷により売上が減少し、毎月の銀行返済が厳しくなっていました。資金繰りを改善するために新たな資金調達が必要でしたが、銀行からの追加融資は難航していました。

解決策:政府系融資と信用保証協会の活用

H社は、日本政策金融公庫の「経営改善資金」を活用し、低金利で1,500万円を借り入れました。また、銀行融資の際には信用保証協会の保証を利用し、追加で1,000万円の資金を調達しました。

信用保証協会の保証を活用: H社は担保がなかったものの、信用保証協会の保証を受けたことで銀行から無担保で追加融資を受けることができました。

長期の返済期間設定: これらの融資には長期の返済期間が設定され、毎月の返済負担を軽減。さらに、融資額の一部を事業の再投資に回し、売上を回復させるための施策を実行しました。

結果

H社は、低金利の融資と信用保証協会の保証を組み合わせたことで、資金繰りが改善され、事業運営を安定させることができました。これにより、銀行との関係も強化され、将来的な融資交渉もスムーズに進められるようになりました。

5. メリットと注意点

メリット:

低金利での融資: 政府系融資や信用保証協会の保証を利用することで、通常の銀行融資よりも低金利で資金調達が可能。

無担保での融資: 信用保証協会の保証を利用すれば、無担保でも大きな額の融資を受けやすい。

返済期間の延長: 長期的な返済計画を組むことで、毎月の返済額を抑え、キャッシュフローを安定させることができる。

注意点:

保証料の発生: 信用保証協会を利用する場合、保証料が発生するため、融資コスト全体を考慮する必要があります。

審査の期間: 政府系融資や信用保証協会の審査には時間がかかることがあり、資金がすぐに必要な場合には他の方法と併用することも検討が必要です。

まとめ

政府系融資や信用保証協会の保証を活用することで、返済に苦しんでいる中小企業でも低金利で資金調達が可能になります。これにより、銀行融資よりも有利な条件で資金繰りを改善できるため、事業再建や経営改善に向けた重要な一手となります。企業の状況に応じた最適な制度を活用し、資金調達をスムーズに進めることが成功の鍵です。

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