銀行とのリスケジュール交渉とは?
リスケジュール交渉とは、返済に苦しむ企業が銀行に対して、融資の返済スケジュールを見直してもらうための交渉です。主に返済期間を延長したり、一定期間元本返済を猶予したりして、毎月の返済負担を軽減し、資金繰りを安定させることを目的とします。
銀行とのリスケジュール交渉の手順
1. 現状の財務状況を把握する
まず、自社の資金繰りや財務状況を明確に把握することが第一歩です。収支状況やキャッシュフロー、毎月の返済額がどの程度負担になっているかを正確に把握し、銀行に提示できる資料を整えます。
・キャッシュフローの見える化
・負債状況の確認(返済元本・利息・返済スケジュール)
2. リスケジュールの目的を明確にする
リスケジュールを求める理由を銀行に説明できるように準備します。単に「返済が厳しいから延ばしてほしい」というだけではなく、リスケジュールの目的をしっかりと伝えることが重要です。たとえば、次のような理由が考えられます:
・短期的な資金繰りの改善
・事業再建のための時間を確保するため
・売上回復までの一時的な資金の余裕を持たせるため
3. 事業再生計画の準備
リスケジュールを成功させるためには、銀行が納得できる事業再生計画を提示する必要があります。この計画では、猶予期間中にどのように事業を立て直し、返済能力を回復させるかを具体的に示します。以下の要素を含めた再生計画が必要です。
・売上改善策: 新たな取引先の開拓や、営業強化などで売上を回復する計画
・コスト削減計画: 固定費削減や効率化による経費削減策
・資金繰り改善の具体策: 早期回収や支払い条件の見直しなどで、・キャッシュフローを改善する施策
4. 銀行との具体的な交渉
交渉は銀行の担当者との面談で行います。交渉に際しては、以下のような具体的な条件を提示し、銀行に納得してもらうよう努めます。
・返済期間の延長: 例えば、3年の返済を5年に延ばすことで毎月の負担を軽減する
・元本返済の猶予: 一定期間(6か月~1年)、元本の返済を停止し、利息のみ支払う
・利率の見直し: 利息の引き下げを依頼することで、負担を軽減する
交渉の際には、以下の点を強調します:
・企業として返済義務を果たす意思を持っていること
・現状の苦境を乗り越えるための計画を持っていること
・リスケジュール後の返済能力を回復する見込みがあること
5. リスケジュール後のフォローアップ
リスケジュールが認められたら、銀行との新たな返済スケジュールに従って返済を続けます。また、事業再生計画に基づいてキャッシュフローの改善を実行し、銀行との信頼関係を保つために定期的に進捗状況を報告します。
具体的な例
たとえば、ある中小企業がコロナ禍で売上が半減し、毎月の融資返済が困難になった場合、銀行に対して以下のように交渉を進めます。
・現状の説明: コロナによる売上減少の影響を説明し、現在の資金繰りの困難さを正直に伝える。
・事業再生計画: コスト削減策(固定費削減、仕入れコストの見直し)、新規顧客開拓の計画を示し、売上の回復見込みを数字で示す。
・交渉条件: 返済期間を3年延長し、6か月間元本の返済を猶予することで、毎月の負担額を減らすよう提案する。
・銀行との信頼関係を築き、返済計画を現実的に見直すことで、企業は経営危機を乗り越えやすくなります。
まとめ
「銀行とのリスケジュール交渉」は、資金繰りに苦しむ企業にとって、経営を立て直すための重要な手段です。誠実に自社の状況を説明し、再生計画を持って交渉に臨むことで、銀行は柔軟な対応をしてくれることが多いです。
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