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【事例10:製造業のD社の金利引き下げ交渉】 事業再生シリーズ:No.164

会社概要と問題点

D社は地方で機械部品を製造している中小企業です。近年、取引先の縮小や原材料費の高騰により、利益率が低下していました。特に、長期間続いた借入金の返済が負担となり、キャッシュフローが悪化していました。D社の借入金はかなりの額で、毎月の返済には高い金利が適用されており、利息だけでも大きなコストとなっていました。

現状

・借入金:8000万円

・金利:5%

・毎月の利息支払い:約33万円

・売上の低下:前年比で10%減少

 このままでは運転資金の確保が難しく、さらに返済の遅延が発生する可能性があったため、D社は銀行に対して金利引き下げを依頼することにしました。

金利引き下げの交渉プロセス

 経営改善計画の提出 D社はまず、今後の事業戦略と収益改善の計画を立て、それを銀行に提示しました。改善計画には、以下の内容が含まれていました:

新規顧客の開拓

 製造工程の効率化によるコスト削減

新たな機械設備の導入による生産性向上

市場金利の比較を提示 D社は、他の金融機関が提供する現在の市場金利を調査し、それが自社に適用されている金利よりも低いことを銀行に示しました。この情報をもとに、銀行に対して競争力のある金利条件を求めました。

信頼関係の強化

 D社はこれまで返済の遅延を一度も起こしておらず、銀行との信頼関係は良好でした。この点を強調し、銀行側もD社が今後も安定した返済を続けられるように協力する姿勢を見せました。

交渉結果

 銀行は、D社の経営改善計画と過去の信頼できる返済履歴を考慮し、金利を引き下げることに合意しました。

・交渉後の金利:3.8%(1.2%の引き下げ)

・月々の利息支払い:約25.3万円(以前の33万円から7.7万円減少)

・年間での負担軽減:92.4万円の利息軽減

結果

 金利引き下げに成功したことで、D社は資金繰りに余裕ができました。浮いた資金は新たな機械設備への投資に充てられ、これによって生産性が向上し、数か月後には売上が回復しました。また、銀行との信頼関係をさらに強化し、今後の追加融資についても前向きに検討されることになりました。

成功のポイント

・信頼関係の構築:過去の返済履歴が良好であったことが、銀行との交渉をスムーズに進める大きな要因となりました。

・経営改善計画の提示:銀行に対して将来の収益見込みを示し、引き下げた金利によって会社が安定し、さらに成長できることを証明しました。

・市場金利の比較:他の銀行が提供する金利との比較を交渉材料として使用したことで、銀行も条件を再検討する必要性を感じたことが引き下げに繋がりました。

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