会社概要と問題点
J社は、地方で運送や倉庫管理を行う中規模の物流会社です。近年、燃料費の高騰や人件費の増加により、経費が大幅に増加し、資金繰りが悪化していました。特に固定費の増加が利益を圧迫しており、キャッシュフローが厳しい状況に陥っていました。このままでは銀行からの借入返済が難しくなり、経営が行き詰まる危機にありました。
現状
・年間売上:3億円
・借入金:5000万円
・燃料費や人件費の増加:前年比で15%増加
・月々の返済額:50万円
J社は、現状のコスト構造を見直し、財務リストラによってキャッシュフローを改善し、経営基盤を安定させることを決意しました。
財務リストラの実施
固定費の削減 J社は、まず固定費の見直しを行いました。特に、大型倉庫の賃料が高額だったため、倉庫をより小規模で安価な場所に移転し、賃料を月30万円削減しました。また、事務所の光熱費を抑えるために、エネルギー効率の良い設備を導入し、電気代を月に5万円削減しました。
変動費の削減
次に、燃料費と仕入れコストの見直しを行いました。燃料費に関しては、燃費の良い新型トラックを導入することで、運行コストを削減。また、複数の燃料業者から見積もりを取り、最も競争力のある業者との契約を結び、燃料コストを年5%削減しました。
キャッシュフローの改善
売掛金の回収サイトを再検討し、大口顧客との契約を見直しました。これにより、支払い条件を60日から30日に短縮し、売掛金の早期回収を実現しました。また、支払い条件の延長交渉を仕入先と行い、支払い期限を45日から60日に延長しました。これにより、毎月のキャッシュフローが大幅に改善されました。
不要資産の売却
J社は、使用していなかった古いトラックや倉庫内の余剰設備を売却し、合計で400万円のキャッシュを確保しました。この資金は借入金返済に充て、利息負担を軽減しました。
結果
J社は財務リストラの実施により、以下のような効果を得ました。
・固定費削減:倉庫賃料と光熱費の見直しにより、月35万円の削減
・変動費削減:燃料費の削減で年間約100万円の削減
キャッシュフロー改善:売掛金の早期回収により、月に約300万円の資金繰り改善
・不要資産の売却:400万円のキャッシュを確保
これにより、J社は月々の返済負担を軽減し、キャッシュフローが改善され、運転資金に余裕が生まれました。また、売却した資産から得た資金で借入金の一部を繰り上げ返済し、返済期間を短縮することができました。
成功のポイント
・固定費と変動費のバランス見直し
J社は、まず固定費を削減することで月々の支出を抑え、次に変動費の効率化を図りました。これにより、短期的にも長期的にもコスト削減を実現しました。
・キャッシュフローの改善に重点を置く 早期回収と支払い延長を組み合わせることで、短期的な資金繰りを大幅に改善し、運転資金の確保が容易になりました。
・不要な資産の売却 使われていない設備や古いトラックの売却により、キャッシュを得て借入金の返済に充てることで、経営の安定性を高めました。
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