【事例34:リスケジュールによる事業再建に成功した具体的な事例:製造業のA社】 事業再生シリーズ:No.189
背景
A社は地方にある中小の部品製造業者で、主に自動車関連企業に部品を供給していました。しかし、景気の悪化とともに取引先の減少や発注量の減少が重なり、売上が大幅に落ち込みました。特に、大口取引先の生産縮小により、会社全体の収益が急速に悪化しました。
問題
A社は融資を受けていた複数の銀行に対して、毎月多額の返済を行っていましたが、売上の減少とキャッシュフローの悪化により、この返済が重くのしかかるようになりました。現行の返済計画では、資金繰りが厳しくなり、事業の存続が危ぶまれる状態でした。
リスケジュール交渉
A社は早期に銀行に対してリスケジュールを求める交渉を開始しました。具体的な交渉の流れは以下の通りです。
1.財務状況の正確な把握:
A社は過去数年間の財務諸表やキャッシュフロー計画を整理し、どのタイミングで資金繰りが悪化したのか、そして今後の予測を銀行に詳しく説明しました。また、売上が回復するまでの期間や見通しも提示しました。
2.再建計画の提出:
銀行に対して、A社は今後の事業再建計画を提示しました。具体的には、現行の取引先への依存度を減らし、新規顧客を開拓するための営業戦略や、内部のコスト削減策(人件費の見直しや材料費の削減など)を示しました。
3.元金据え置きの提案:
A社は、銀行に対して元金の返済を一時的に停止し、半年間は利息のみを支払う形でリスケジュールを提案しました。さらに、返済期間を延長し、毎月の返済額を減らすことを求めました。
結果
銀行はA社の再建計画を信頼し、リスケジュールに応じました。元金据え置きの6ヶ月間を確保することで、A社はキャッシュフローに余裕を持たせ、新規顧客の獲得や生産体制の見直しに集中することができました。この期間中に売上は徐々に回復し、6ヶ月後には通常の返済スケジュールに戻ることができました。
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