背景
D社は、都市部で複数店舗を展開する飲食チェーンでした。安定した経営を続けていたものの、新型感染症の影響で来客数が大幅に減少し、売上が急落。従来の資金繰り計画が崩れ、銀行からの融資返済が困難な状況に陥りました。
問題
・売上が50%以上減少したため、毎月の返済額が重くのしかかる。
・現行の融資条件では、追加の資金を確保する余裕がなく、店舗のリニューアルや広告費用など、売上を回復させるための投資ができない状況にあった。
・新たな融資を銀行に申し込んだものの、無担保では融資が難しいという判断を受けていた。
解決策:追加担保を提供して条件緩和を実現
D社は、会社が所有していた別の不動産資産(地方の実家の土地と建物)を追加担保として提供し、銀行に対して返済条件の緩和交渉を行うことにしました。
具体的な交渉の流れ
1.担保資産の評価:
・D社は、地方にある実家の土地と建物を銀行に担保として提供するため、まずその資産の市場価値を千門家に依頼して評価しました。
・銀行も独自にその不動産の評価を行い、その結果、その資産が十分な価値を持つことを確認。
2.銀行との交渉:
・D社は追加担保を提供し、既存融資の返済期間を延長し、月々の返済額を大幅に減らすことを提案しました。これにより、売上が回復するまでの期間を確保し、経営を安定させることが目的でした。
・さらに、運転資金として新たな融資を受けるための提案も同時に行い、店舗のリニューアルや広告活動に使える資金を確保しようとしました。
3.再建計画の提示:
・追加担保とともに、D社は銀行に対して具体的な再建計画を提示しました。この計画では、新規顧客の獲得施策やデリバリーサービスの強化、既存店舗のリニューアル戦略を示し、どのようにして売上を回復させるかを具体的に説明しました。
結果
銀行は、D社の追加担保を受け入れ、次の条件緩和に同意しました。
・返済期間の延長:
もともと5年で返済予定だった融資を10年に延長し、毎月の返済額を半分に減らすことができました。
・金利の引き下げ:
リスクが減少したため、金利を1%引き下げることで、長期的な利息負担を軽減しました。
・新規融資の承認:
担保の提供によって銀行のリスクが低下したため、新たに1,000万円の運転資金を融資してもらうことができました。
この資金を活用してD社は店舗のリニューアルを実施し、さらに広告費用を投じてデリバリーサービスを強化。その結果、売上は徐々に回復し、安定したキャッシュフローを確保することができました。
成功要因
・追加担保の価値が高かったこと:
D社が提供した不動産資産が銀行にとって十分な価値を持っていたため、銀行もリスクを軽減できると判断し、融資条件の緩和に応じやすかった。
・具体的な再建計画の提示:
D社は売上回復のための具体的な施策を提示し、銀行に対して将来的な返済能力があることを信頼してもらうことができた。
・迅速な対応:
D社は早い段階で追加担保の提供と条件緩和の交渉を開始し、問題が深刻化する前に解決策を講じることができた。
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